OJT付き訓練のうち、都道府県労働局長が訓練基準に適合する旨の確認を行った「有期実習型訓練」を、フリーターなど職業能力形成機会の尐ない人、または新規学卒者に対して実施する事業主に対して助成金を支給します。(対象:中小企業・大企業)
■ 訓練コースの基本要件
企業内でのOJTと教育訓練機関で行われるOFF-JTを効果的に組み合わせて実施する訓練であること。
実施期間が3カ月超6カ月以下であること(※1)。
総訓練時間が6カ月当たりの時間数に換算して425時間以上であること(※2)。
総訓練時間に占めるOJTの割合が2割以上8割以下であること。ただし、訓練終了後、通常の労働者に転換される場合には、総訓練時間に占めるOJTの割合が1割以上9割以下であること。
訓練修了後に評価シート(ジョブ・カード様式4号)により職業能力の評価を実施すること。
※1 次の①、②の場合は実施期間の特例があります。
① 資格取得に当たって、6カ月を超える期間が必要なもののほか、農業などその業界へ就職するに当たって必要とされる職業能力の習得には6カ月の訓練期間では丌足であり、1年間の訓練期間が必要となるものについては訓練期間が3ヶ月超1年以下となります。
② 有期実習型訓練をトライアル雇用と併用する場合は、訓練期間が3ヶ月となります。
※2 必要な総訓練時間の計算方法は、訓練実施期間を年、月、日ごとに分けて換算した上で合算します。
(○月/6×425時間)+(○日(1ヶ月未満の端数分)/182.5×425)≦ 総訓練時間
■ 訓練対象者
次のイ、ロいずれにも該当する者
イ 新たに雇い入れた雇用保険の被保険者等または既に雇用している短時間等労働者
ロ
登録キャリア・コンサルタント(※3)が交付したジョブ・カードにより、職業能力形成機会に恵ま
れなかった者(※4)であって、安定的な雇用に就くためには有期実習型訓練に参加する必要がある
と認められた者、または、新規学卒者(訓練開始日に学校等を卒業・修了した後3カ月を経過していない者)
※3「登録キャリア・コンサルタント」とは、ジョブ・カード講習(厚生労働省または厚生労働省により委託を受けた登録団体によって実施される講習)を受講し、厚生労働省または登録団体に登録されたキャリア・コンサルタントのことをいいます。ジョブ・カードは、登録キャリア・コンサルタントに限り、交付することができます。
※4「職業能力形成機会に恵まれなかった者」とは、原則として訓練を実施する分野において過去5年以内におおむね3年以上継続して常用雇用されたことがない者のことをいいます。
■ 支給内容
《中小企業に限る》
《OFF-JTに対する助成》
訓練に要した
経費の3分の1に相当する額を支給します。
対象となる経費 事業内で自ら行う場合…部外講師の謝金、施設の借上げ料、教材費など
事業外の教育訓練機関に委託して行う場合…入学料、受講料
実施時間に対して支払われた
賃金の3分の1に相当する額を支給します(時間数の上限は、認定訓練を除き、1人1コース当たり1,200時間です)。
《OJTの実施に対する助成》
訓練の実施時間に応じて、受講者1人につき
1時間600円を支給します。(1人当たり408,000円を限度)
《OFF-JTに対する助成》
訓練に要した
経費の2分の1(大企業は3分の1)に相当する額を支給します。
対象となる経費 事業内で自ら行う場合…部外講師の謝金、施設の借上げ料、教材費など
事業外の教育訓練機関に委託して行う場合…入学料、受講料
実施時間に対して支払われた
賃金の2分の1(大企業は3分の1)に相当する額を支給します(時間数の上限は、認定訓練を除き、1人1コース当たり1,200時間です)。
《OJTの実施に対する助成》
訓練の実施時間に応じて、受講者1人につき
1時間600円(大企業も同額)を支給します。(1人当たり408,000円を限度)
※ 受講者が短時間労働者かどうかの判定の時点は、訓練開始時とします。ただし、訓練期間中に通常の労働者に転換した場合などは、通常の労働者に対する訓練とみなしますので、ご注意ください。
活用事例
④ OJT付き訓練のうち有期実習型訓練に対する助成
職業能力形成機会の尐ない方々に企業内における実習(OJT)と教育訓練機関等における座学(OFF-JT)を行うことにより、正社員を目指す人材を育成したい事業主のケース
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【D社(製造業)の場合】
D社では、正社員となる人材を育成するため、「企業内における OJT」と「教育訓練機関等におけるOFF-JT」を効果的に組み合わせた「有期実習型訓練」を行うことを決め、有期実習型訓練実施計画を作成し訓練実施計画の届出を行った。計画の確認を受けた後、ハローワークに求人票(訓練計画添付)を提出し、登録キャリア・コンサルタントによるキャリア・コンサルティングを受けて訓練が必要と認められた求職者2人を短時間等労働者として採用した。訓練の実施期間は4カ月で総訓練時間は450時間、内訳はC社で製造している部品の加工製作(OJT)が300時間と、教育訓練機関において行われる座学(OFF-JT、受講料10万円/人)が150時間である。
◆助成金の受給額の例
(注)中小企業が短時間等労 |
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【要した経費】 740,000円(①+②) |
【助成額】 676,000円(③+④+⑤) |
【OFF-JTに対する経費助成対象額】 受講料 ※1人当たりの受講料100,000円×2人 =200,000円・・・・・・・・・・・・①
【OFF-JTに対する賃金助成対象額】 研修を実施している時間における賃金 ※従業員1人に対する1時間当たりの平均賃金単価1,800円で算出 (1,800円×150時間)×2人 =540,000円・・・・・・・・・・・・②
【OJTの実施に対する助成】 |
【OFF-JTに対する経費助成額】 受講料の助成額 100,000円×2人×1/2(助成率(注))=100,000円・・・③
【OFF-JTに対する賃金助成額】 ※1時間当たりの賃金助成額 720円 1,800円×0.8×1/2=720円 720円×(150時間×2人)=216,000円・・・・・・・・・・④
【OJTの実施に対する助成】 ※受講者1人に対し1時間600円を支給 600円×300時間×2人=360,000円・・・・・・・・・・・・・・⑤ |
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(注)中小企業が短時間等労働者に訓練を実施した場合です。助成率は企業規模や訓練対象者によって異なります。 |
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■その他 キャリア形成の種類 5種類
① 専門的な訓練の実施に対する助成(一般職業訓練)
② 短時間等労働者への訓練に対する助成(短時間等職業訓練)
③ OJT付き訓練のうち認定実習併用職業訓練に対する助成
④ OJT付き訓練のうち有期実習型訓練に対する助成
⑤ 自発的な職業能力開発の支援に対する助成(自発的職業能力開発)
⑥東日本大震災復興対策としての特例措置